スプーンは、とまらなかった。

お題「旅行先で食べた美味しかったお店や料理は?」

 

明太いくら玉子焼丼 

お味噌汁、お漬け物、煮物つき。

福岡へ一人旅したときのこと。

モノを知らなさすぎるわたしも、福岡が美味しいグルメで溢れていることは知っており、食べまくろうと意気込んでいた。

明太子、博多ラーメン、水炊きはマストだと思い、行く前からリサーチを進めていた。

 

1泊2日の旅であったが、そのなかでも脳髄もってかれたのが、明太いくら玉子焼丼である。

2日目のお昼に「博多シーフード うお田」さんにお邪魔した。

 

ぴかぴかのいくら。トップには圧倒的存在感の明太子。そしてそれを支えるだし巻き玉子。

かけだれはないようで、いつもお寿司を醤油でビシャビシャにする私は戸惑ったが、すぐにその理由が分かった。

 

\いただきまーす/

 

うう、、、なんてこと。。。

魚卵と魚卵の共鳴。まずここに幸(さち)が生まれる。

ぴちぴちとしたいくらの味わいと、明太子の旨みが合わさって、口の中はお祭り騒ぎ。

この共鳴は、少なくとも自分は初めてだった。

そしてそこに、スプーンで一口の大きさに切り取った、だし巻き玉子をかきこむ。

 

むふう、、、

味を渇望していた口内の細胞が喜んでいた。

このおだしの味、魚卵に合いすぎやしないか?と。

そしてこのおだしの味があれば、たれをかける必要はないのだな、と気づいた。

すかさず私は、白飯もほおばった。

 

ああ、幸、、なんて幸なのか、、、。

たんぱく質のトリプルコンボに、それらのバランスをとるかのように現れた白飯。

いくら、明太子、だし巻き玉子、白飯。すべてがすべてを引き立たせ、互いに邪魔をすることなく、それぞれの最大限をだしてくれていた。

 

スプーンは、とまらなかった。